はじめてのステップバックターン|入門編
今回は「SUPでステップバックターンをできるようになりたい!」という初めてターンに挑戦する方のため、「SUPステップバックターン(ピボットターン)の仕方|入門編」をご紹介します。
new! 「はじめてのステップバックターン|動画編」も、あわせてどうぞ。
SUPのターンについては、ステップバックターン、ヴイターン、ピボットターンなど、いろいろな呼び方があるようですが、ボード上の後方に重心を移動させて、素早く、コンパクトに回るためのターンとしておきます。
実際のイメージはこちら。レースに出るときはブイをターンするときに、スムーズに回れることでタイム短縮にもつながります。
海でくるくるまわって遊ぶだけでも、結構楽しいです。
正直、最初の頃は「ぜったいムリだ」と思っていました。はじめて挑戦したときには、泣きたくなるくらいに落水して、やはり無理だ、と思っていたのですが、その後、冷静に一つづつのステップに分けてやっていくうちに、徐々に安定してできるようになってきました。
他にも、いろいろなアプローチがあると思いますし、これが正解というものではないですが、私の場合は、こんな風にステップを分けて、練習していたら、結構安定してできるようになった、というステップを紹介しておきます。
STEP1|陸上でサーフスタンスをとってみる
STEP2|座った状態でボードの後ろに荷重し、パドルワークと回る感覚を掴む
STEP3|ボード後方に、サーフスタンスで立ち上がり、その場で回る
STEP4|漕ぐ流れの中で、後方に移動して、回る
STEP5|実際のブイを回る内容としては、いろいろなアドバイス、動画、雑誌記事などで見聞きしたことをもとに、うまく取り入れられたものを、まとめています。参考にさせていただいたみなさま、ありがとうございます。
今回記事の中で使っている写真は、いつものツーリングボードでなく、レース用の細目のボードを使ってのチャレンジでした。「これから初めてやってみる!」という方に近い状態で、ほんとに回れるようになるか、の実験もかねてみたかったので、挑戦してみました。
そのため、ややおぼつかない部分もあったりするのですが、完璧なものを見るよりも、参考になるかと思いますので、ご紹介させてもらいます。
1.陸上でサーフスタンスをとってみる
まずはじめに、陸上でできることをやっておきます。
サーフスタンスをやったことがない状態ですと、頭の中のイメージと実際の自分の身体の位置や向きが、大きく違っています。なので、陸上の落ち着いた状態で、確認しておきます。
確認したい点としては、2つです。
1つめは「どこまで横を向けばいいのか?」です。はじめて横向きに乗るときは、横になりきれずに、斜めになるので、実際の身体の向きを変えてみて、目指す状態を確認します。
もう1つは「どこまで下がるのか?」についてです。やってみると思ったほど後ろに下がれていない、ということがあります。そこで、実際にボード上で目指す位置まで下がってみます。最初は「こんなに下がるのか」というのが感想でした。3歩で下がるには、どのくらいの歩幅で移動するのか、なども試しておきます。
一回でできるものでもないので、水上でうまくいかないときには、また陸上で試してみるなど、うまく取り混ぜて調整していきます。
2.座った状態でボードの後ろに荷重し、パドルワークと回る感覚を掴む
次は、水上でのステップですが、まずは座った状態で、回る感覚を掴みます。
ボードの前方が浮くくらいまで、座った状態で後ろに移動します。この状態で、ボードを回します。ボードと水面の接地面が減るので、回転性があがって、軽く漕いだだけで、くるっとまわってくれるはずです。
座った状態で、パドルワークを掴む
パドルをどう使えば回るのか、どのくらい力を入れるとボードがぐらつくのか、あたりの感覚を掴みます。
以下、レギュラースタンス(サーフスタンスをとったときに左足が前)の人の場合を前提に説明します。グーフィー(右足が前)の人は、左右逆になります。
左に回る|バックサイドターン
レギュラースタンスでの左回り、背中側に回るときのターンをバックサイドターンと呼びます。レースの時ですと、左側にあるブイを回る状況ですね。
基本は、右側のスィープストロークで回ります。パドルを斜めに倒して、右側を漕ぐことで、ボードが回ります。ボードに近いところの前方にしっかり挿して、パドルで水を押さえつけてボードの頭を左に回す、つもりで横にかき分ける感じに漕ぐと、回る感覚が掴めます。
90度くらいまでのターンですと、この漕ぎ方でいけます。実際のレースのときは、コース設定によって、ブイを回る角度が変わりますので、状況に合わせて調整します。ゆるい角度であれば、パドルを斜めに倒す角度を少なめにして、細かく何回か漕ぐと、比較的スピードを維持しながら、曲がれます。
一方で、180度(ブイを半周するなど反対を向く場合)ほどの角度を回ろうとすると、どうしても膨らんできます。
その場合は、右側のスィープストロークで後ろのほうまで漕ぎ回してボードの後ろを超えて、反対側の左側までパドルを回します。
こうすると、バックパドルと近い状態になり、膨らまずにコンパクトに回ってくれます。
パドルを戻すときに、水面を滑らせながら戻せると、バランス崩れた時の支えにもなってくれるので、できるようになっておくといざという時に便利です。
まずは、座った状態で、スィープストロークや後ろを超えて回しきる練習をしておきます。
右に回る|フロントサイドターン
レギュラースタンスでの右回り、顔の正面お腹側に回るときのターンをフロントサイドターンと呼びます。レースの時ですと、右側にあるヴイを回る状況です。
レギュラースタンスで、左側(背中側)を漕ぐ状態は、非常に不安定になります。そのため、あまり大きくスィープストロークは、できなくなります。
そこで、フロントサイドの場合には、最初にクロスボーターンで、右側にパドルを入れて、コンパクトに回ります。
まわり周り足りない分について、そのままパドルを回しボードを乗り越えさせて、左側を漕ぎ足します。
このとき、あまり大きなストロークにせず、小さく回数を入れながら漕ぐようにしています。
座った状態で、クロスボー、細かいスィープストロークで、右に回るように練習しておきます。
3.ボード後方に、サーフスタンスで立ち上がり、その場で回る
次は、後ろに下がった位置で、サーフスタンスでのスタンドアップ状態を作ります。
このとき気をつけているのが次の点です。
サーフスタンスの3つのポイント
- 腰を低すぎるかな、と思うくらいに落とす
- 前足側に重心を置く
- 上半身は、姿勢良く、起こしておく
こうすると、安定しやすいです。足の筋肉つりそうになりますが。。。
最終目標としては、漕ぎながら、3歩くらいで目指す位置まで下がりたいところです。いきなりやってみてもOKですが、落水ばかり、ということも考えられます。ので、まずは、どういう形でもよいので、後方でサーフスタンスで立つ、状態を作ります。
私の場合は、ちょっとづつ下がります。
上下の動きで荷重と開放のタイミングをきっかけにしたり、パドルでバランスとったり水面に挿して抵抗を得て支えにしたり、うまく補助に使います。
他には、座ってさがってから、立つ、というのもありそうです。
後方でサーフスタンスで立つ、という状態が作れたら、この状態でバランスとれるように慣れます。パドルで補助したり、軽く上下に重心の位置を変えてみたり、身体のちから抜いてみたり、など。じょじょにリラックスもできるようになってきます。
慣れたら座ったときのパドルワークを、スタンドアップ状態で実践してみます。右側のスイープストロークで、左にまわしてみたり。
クロスボウで右に回してみたりと、身体の中心は維持しながら、パドルでボードをコントロールします。
倒れそうになったときは、座ってしまうと、落水はしないで耐えられます。
あまり落水をしたくない状況や環境でしたら、やばそうなときはしゃがんでしまってやり直しましょう。
4.漕ぐ流れの中で、後方に移動して、回る
次に、一連の漕ぐ流れの中で、後方に移動して、180度の反転ターンをしていきます。
まずはまっすぐに漕ぎ進みます。
回りたいポイントの手前で、サーフスタンスに移行します。
パドルを抜いてボードへの荷重を軽くしたタイミングで、左足を斜めに、右足を下げます。
そのまま下がれれば、もう一歩下がります。動きづらければ、もうひと漕ぎ入れてパドル抜いたタイミングで、もう一歩下がると、動きやすいです。
最初は、3歩で下がれなければ、何回かで、目標の位置まで下がります。
左側に回るバックサイドターンであれば、スイープストロークを何回か入れて回ります。膨らみすぎるときは、背中側を回して、反対側にまでパドルがいくようにすると、回りきってくれます。
このときに、先程のサーフスタンス3つのポイント「腰を低すぎるくらいに落とす」「前足側に重心を置く」「上半身は、姿勢良く、起こしておく」を抑えてておくと、落水しづらいです。漕ぐことに考えが行き過ぎて、背中を丸めてしまうと、バランス崩れてきます。身体を起こしたまま、パドルを回せると、うまく回ってくれます。この写真では、腰を落とすが行き過ぎて、ほぼ座っちゃってますね。まあ、初めてということで。ここまで落とすと、落水はしないで回っていきます。
まわり切ったら、もうひと漕ぎスイープストロークを入れて、体制を立て直します。
続いて、パドルを抜いたタイミングで、足を並列にして通常の漕ぐ位置とスタンスに戻って、漕いでいきます。
右側に回るフロントサイドターンは、クロスボウでパドルを入れられると、比較的回ってくれやすいです。
左側を漕ぐときは、小さめに回数を入れます。
回り終わったら、足を並列にして通常の漕ぐ位置とスタンスに戻って、漕いでいきます。
繰り返しながら、慣れてきたら、下がる時のタイミングや3歩で下がることを目指します。
5.実際のブイを回る
最後に、ブイや目印があるところで練習します。
※ブイを回る写真が撮れなかったので、別の日のもので参考に載せておきます。目標物がある状態で、狙った軌跡を回ろうとしますと、最初は思ったようにいかずに、大きく膨らんでしまったりします。
※この写真は、背中曲がってますね。。。ボード安定してるから、甘えているようです。やるべきことはこれまでにやってきたことなのですが、タイミングや精度が求められます。1つづつ改善することで、思ったようにコントロールできるようになり、レースなどでも実際に使えるレベルになってきます。
さらに応用していきましょー
最初は、平水面でトライできるとやりやすいです。
慣れてきたら、波や風のある状況で、ステップ3の「後方にスタンドアップした状態」でバランスとったり、回ってみる練習をしていると、状況対応力も上がってきます。
せっかくなので、あとは実際のレースに出て、試してみたいですね。曲がる角度や水面の状況で、曲がり方選択したり、他の参加者との混み合った状態でどう対応するか、など、選択肢の中から漕ぎ方を選び、うまく使いこなせると楽しいです。
ステップバックターン入門、いかがでしたでしょうか。まだまだ改善の余地はあるかと思うのですが、まずは入門編としてこれまでやってきたことをご紹介させてもらいました。「これからターンをやってみたい!」という方の参考になれば嬉しいです。
今回の「ステップバックターン入門」、動画も撮影したのですが、ややこなれていないこともあり公開するのをためらっております。
ただ、動画のほうがわかりやすいだろうなー、とは思うので、とりあえずメール会員の方には、ご紹介しようかと思っております。ご興味あれば、メール会員ご登録いただければ、次回ニュースレターで紹介させていただきます。いつもありがとうございます。
感謝申し上げます。